例えば、顧客がサプライヤーの指定する貯蔵タンクにガスを貯蔵する契約を当該貯蔵タンクを保有するサプライヤーと締結する場合に、貯蔵タンクの容量の70%まで貯蔵する権利を顧客が有する場合には、顧客が使用できる資産(貯蔵タンク)が物理的に別個のものではなく、資産の稼働能力(貯蔵タンクの容量)の一部分であるため、当該資産の稼働能力部分は特定された資産に該当しないと考えられます。 ただし、顧客が使用することができる資産の稼働能力が、当該資産の稼働能力のほとんどすべて(例えば99.9%)である場合、顧客は貯蔵タンクの使用による稼働能力のほとんどすべてを享受する権利を有していると考えられるため、貯蔵タンクの稼働能力である容量部分は特定された資産に該当すると判断されます。 つまり、顧客が使用することができる資産が物理的に別個のものではないものの、顧客が使用することができる資産の稼働能力が、当該資産の稼働能力のほとんどすべてであることにより、顧客が当該資産の使用による経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有している場合は、当該資産の稼働能力部分は特定された資産に該当します(新適用指針7)。[2]資産の使用を支配する権利 次に、資産の使用を支配する権利が移転しているか否かの判断について、新適用指針第5項で支配が移転する要件とその考え方を示すとともに、第8項において当該要件の1つである資産の使用を指図する権利を有する場合についての考え方を示しており、顧客は、次のいずれかの場合にのみ、使用期間全体を通じて特定された資産の使用を指図する権利を有しているとされます(新適用指針8)。① 顧客が使用期間全体を通じて使用から得られる経済的利益に影響を与える資産の使用方法を指図する権利を有している場合② 使用から得られる経済的利益に影響を与える資産の使用方法に係る第1節 リースの識別の判断11
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