新版 タイムリミットで考える 相続税対策実践ハンドブック 〔生前対策編〕
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によって意思能力が失われると相続対策を実行することが不可能となります。また、相続税対策は、一定の前提条件を基に対策を実行することになります。そのため、前提条件が異なると自ずと期待した効果が生じない場合や逆効果になってしまうこともあります。前提条件で欠かせないものとして、死亡する順番を想定します。例えば、父→母の順の相続が開始すると仮定し、相続対策にかけることができる時間、相続開始まで何年とするかについても仮定することが必須となります。そこで、本書では、生前対策にかける時間の長短に応じた具体的な相続対策について解説しています。限られた紙面ではありますが、分かりやすく解説するために設例を用いて数値で確認できるようにしています。また、コラムによって実務上の疑問点などの解消のために役立つよう工夫しています。なお、本書は、平成10年に初版を発刊し、令和3年まで毎年改訂を重ねました『タイムリミットで考える相続税対策実践ハンドブック』をリニューアルしたものです。旧版のうち相続発生前の対策を「生前対策編」として本書にまとめています(相続発生後の対策をまとめた「遺産分割・申告実務編」は令和4年12月に発刊を予定しています。)。筆者は浅学非才でありますが、実務に従事しながら相続対策の基本とその取組み方について多くの事例を体験し、その中から得た内容などをこの本にまとめています。内容等について今後検討を必要とする部分もあることと思いますが、読者諸賢にとって相続対策のヒントとなる一項目でもあれば筆者の望外の喜びとするところです。なお、文中意見にわたる部分は私見であり、設例の数値は原則「万円」単位で表示し、端数処理については四捨五入してありますので、その旨ご留意ください。最後になりましたが、清文社の編集部の皆さまには大変ご苦労をおかけしました。この紙面を借りて心よりお礼申し上げます。令和4年9月(注)文中解説において、推定被相続人及び推定相続人を、単に「被相続人」及び「相続人」として表記している部分がありますので、解説の内容に応じて読み替えをお願いします。税理士山本和義

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